先月、実家の両親がベルギー在住の妹夫妻を訪ねるため、2週間ほど実家を留守にすることがあった。こちらとしては実家のファイル・サーバー (Dell PowerEdge SC440) を物理的にいじるちょうどいい機会だったので、出発前に実家サーバーを我が家に配送してもらい、メモリを増設して、ホコリの絨毯と化していたフロント・パネルの裏側も入念に掃除しておいた。
わざわざ実機をこちらに送らせてメモリを増設する名目は 「利用環境をより快適にするため」 だが、誰の 「利用環境」 かを曖昧にしたのは故意で、真の目的は、僕自身にとって遊べる実用的な Xen 仮想化環境を構築することにある (両親が使うだけのファイル・サーバーなら、メモリは 512MB で十分)。
Xen は既に Red Hat Enterprise Linux 6 には搭載されないことが発表され、世間では 「これからの仮想化は KVM でしょ」 的な潮流になっていて、このタイミングの Xen 環境構築には、今さら感が漂わないでもない。ではなぜ Xen なのか。それは実家のサーバーは KVM の動作条件を満たしていないから、と言うのが最大の理由だが、Xen は Red Hat 社に見捨てられたと言っても、死んだわけではない (Amazon EC2 もベースは Xen だ)。我が家の VMware ESXi と VMware Server マシンの負荷分散のためにも、自由にいじれる Xen 環境が手近なところにあった方が、何かと都合がいい (我が家と実家は、OpenVPN で常時拠点間 LAN 接続されている)。
実家のファイル・サーバーの OS は CentOS 5.5 で、「来る日」 に備えて Xen 対応カーネルが既に導入済みだったが、今までは搭載メモリが 512MB しかなく、Domain-0 が孤独に稼動しているだけだった。そこへ事前にオークションで入手しておいた 2GB (1GB x2) を追加し、ようやく Domain-U の仮想マシンを動かせる環境が整った。前述の通り CPU が仮想化支援機能に非対応なので、準仮想化しか使えないが、まァいいだろう。
実は 「実家サーバーのメモリを増設して、マトモに動く Xen 親機化」 プロジェクトが始動するのは、これが 2度目。初回はメモリの規格を誤り、無様に失敗 (問題のマシンに適合するメモリは ECC Unbuffered なのに、何を勘違いしたのか ECC Registered を買ってしまった)。誤って購入したメモリはオークションで売却したものの、家計に損失を与えた責任を追及され、プロジェクトは凍結されていた。
今まで公私に渡って PC 自作やメモリ増設をこなして来て、メモリの規格を間違えたのはこのときだけ。けっこうショックだったが、こうして雪辱を果たす機会が得られたことは、実に喜ばしい。