昨年春の購入直後に OS をデフォルトの Windows XP Home Edition から Windows XP Professional (英語版) に入れ替えた ASUSTeK Eee PC 900HA (以下 900HA) を、今度は Windows 7 Ultimate (x86 / 英語版) に入れ替えてみた。
と言っても、いきなり入れ替えを敢行したわけではない。非力なネットブックである 900HA を唐突に Windows 7 化してしまって 「やっぱり XP の方がよかった」 となった場合に備え、ひとまず XP とのデュアル・ブート環境を構築して検証。しばらく使ってみて、当初懸念されていたいくつかのハードルが、いずれもクリアできるかそれほど問題にならないことが確認できたので、改めて完全移行に踏み切った。
メモリはデフォルトの 1GB では苦しかったので、最大値の 2GB に増設している。
DVD ドライブがない 900HA に Windows 7 をインストールする方法は、
- USB 接続の外付け光学ドライブを用意。
- 他のマシンから光学ドライブを一時拝借。
- USB メモリを使用。
- Windows Server 2008 の 「Windows 展開サービス」 経由でネットワーク・インストール。
等がある。僕は手元にある複数の USB メモリを使いたくなかったので、前回同様にSATA/IDE → USB 変換アダプター経由で "2." を採用した。他の PC のケースを開けて DVD ドライブを引っ張り出すのが (元に戻すのも) 面倒だが、安上がりだ。
尚、ダントツで便利なのは "4."。Windows Server 2008 + Active Directory 環境があれば、ぜひ使いたい。
デュアル・ブートの場合は、既存の Windows XP のシステムや他のデータを上書きやフォーマットしないように注意するが、今回は完全移行なので、Windows XP で C: ドライブと認識されているパーティションをフォーマットする。Windows 7 や Windows Server 2008 等最近の Windows は、ユーザーによる入力が序盤と終盤に集中してるため、インストールが始まってしまえば、しばらく放置できるのがありがたい。
さて、無事にインストールが完了して Windows 7 が起動したら、まずハードウェアの状態を確認する。次の表は、900HA の各機能について、僕の環境での Windows 7 のインストール直後と、必要に応じて追加処置を施した後の状態を表している。○ は XP とほぼ同等、△ は一部制限、× は認識/使用不可を示す。
デバイス/機能 | 初期状態 | 追加処置後 | 備考 |
---|---|---|---|
キーボード | △ | ○ | レジストリ編集 |
チップセット | △ | ○ | Intel 945 Express ドライバー追加 |
グラフィックス | △ | ○ | Intel 945 Express ドライバー追加 |
ACPI | × | ○ | ドライバー追加 |
サウンド | △ | (○) | Realtek HD Audio Driver R242 ドライバー追加 |
Super Hybrid Engine | -- | △ | 付属 DVD-ROM から |
タッチパッド | △ | ○ | 付属 DVD-ROM から |
有線LAN | ○ | -- | |
無線LAN | ○ | -- | |
カメラ | ○ | -- | |
マウス | ○ | -- |
僕の環境では、インストール時にキーボードを JP106/109 と指定しても英語配列になってしまったので、管理者権限でレジストリエディターを起動し、"HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\i8042prt\Parameters" キーに次の設定を加えることで解決した。ただこれは英語版特有の現象で、日本語版では発生しないかもしれない。
- String: LayerDriver JPN = kbd106.dll
- String: OverrideKeyboardIdentifier = PCAT_106KEY
- DWORD: OverrideKeyboardSubtype = 2
- DWORD: OverrideKeyboardType = 7
チップセットとグラフィックスは、Intel サイトから Intel 945 Express 用のドライバーをそれぞれ入手してインストールした。グラフィックス・ドライバーのインストール時に画面が消えて元に戻らず一瞬焦るが、何度か [Enter] キーを叩いて HDD のアクセスがなくなるまで待ち、電源ボタン長押しで強制終了 → 起動した。
以下の画面遷移スクリーン・ショットは、リモート・デスクトップ接続経由で改めて同じ操作を検証してみた際の画像。fig.4 の途中で画面が消えた後、fig.5 と fig.6 を [Enter] キー連打で抜けたのは一応正解だったようだ。
ただ、最初のインストール時もリモート・デスクトップ接続経由の時も、再起動に入った後で反応がなくなり、電源ボタン長押しで強制終了している点に注意。僕の環境では、fig.6 の 「今すぐ再起動」 を選択しても、Windows が正しく起動しなかった (起動しているかもしれないが、画面が表示されない)。強制終了して改めて電源を入れると、 前回 Windows が不正終了した旨のメニューは表示されるが、普通に起動する。
fig.1: セットアップ開始
fig.2: 使用許諾契約書
fig.3: Readme 表示
fig.4: この途中で画面がブラックアウト
fig.5: 次へ
fig.6: 完了
デフォルトで認識されなかった ACPI は、ASUSTeK FTP サーバーの 1000HD ディレクトリで公開されている ACPI ドライバー (Asus_ACPI_Driver.zip) を使った。最初は 900HA ディレクトリの ACPI ドライバー (ACPI.zip) をインストールしたが、ログオン直後にグラフィックスやオーディオのドライバーがインストールされてない等々警告が表示されてうるさいので、某所で 「Windows 7 で使えた」 とされていた 1000HD 用ドライバーにしたところ、静かになった。一応認識されているし、多分問題ないだろう。
サウンドは、ライン/マイク入力端子の状態監視やエフェクト等、標準にはない機能を使いたければ、Realtek サイトから入手できる High Definition Audio Codecs を使うといい。僕は両方試した結果、Realtek ドライバーは使わず、標準ドライバーのままにしている。
ASUSTeK 独自の電力管理機能を提供する Super Hybrid Engine は、900HA の付属 DVD-ROM からインストールできた。インストールの際は、Software\SupHybridEngine フォルダーの AsusSetup.exe を実行しても 「非サポート OS」 と言うエラーを吐いて先に進まないので、注意。同フォルダーの SuperHybridEngine_1.16.exe を実行すると、インストールできる。ただし電源の状態を自動検出する "Auto Mode" は、AC 電源利用中に電源ケーブルを抜いても機能しないので、手動で切り替える必要がある。(※ 05/09 追記: 今は Auto Mode が電源ケーブル抜き差しを検出することに気がついた。900HA 用 ACPI ドライバーのインストールの有無 (現在は 1000HD 用を使用) の違いかもしれないが、未検証)
タッチパッドは標準でも使えるが、900HA の付属 DVD-ROM にある ETDWare PS/2-x86 をインストールすると、正しく設定できるようになる。実行するインストーラーは Drivers\Touchpad\setup.exe で、AsusSetup.exe ではない点は Super Hybrid Engine と同様。これも英語版特有の現象か、設定画面が文字化けして読めなかったので、インストーラーのフォルダーにある対応言語フォルダー内 (JPN, ENU 等) にある以下のファイル/フォルダーを、インストール先フォルダーに上書きコピーして解決した。
- TH_Help
- ETDMcpl.dll
- ETDUninst.dll
- ETDUninst.exe
ハードウェア関連の作業は、これでひとまず完了。輝度調節、音量調節等の [Fn] キーと組み合わせた操作もできるし、個人的にはあまり使わないカメラも、デフォルトの状態で機能する (Skype で確認)。画面が狭いのは如何ともしがたいが、メモリを増設したこともあって、十分実用的なレスポンスで動作している。
最後に、僕の環境での Windows Experience Index を紹介する。
fig.8: Windows Experience Index
まァ、900HA ではこんなところだろう。もとよりヘヴィな作業をさせるつもりはないので、これで十分だ。